転院して、本格的にリハビリを行うことになってからは、ひたすらそれだけに集中しました。

そして、病院からも、回復への強い意志を求められました。
だから、できるだけ健常者に近い生活をすることになりました。

食事の時には、スプーンだけでなくお箸も使うようになりました。もう前掛けも使いません。
薬も、自分で封を開けて服用するようになりました(前の病院では、薬を看護師さんに出して貰って飲んでいました)。
そして、精神的に楽になったのは、おむつではなく普通の下着を使うようになったことでした。
やはり、下の世話を人にお願いせざるを得ないのは、精神的に辛いものです。

でもこのときにやっと、普通に下着を履くことができ、毎日、入浴がない日でも、着替えていました。

まだADLは日常生活を支障なく過ごすには程遠かったものの、こうして生活が変わることによって、「この病院は、退院するためのトレーニングをする場所なんだ」と認識することができましたし、自分が一歩ずつ回復している手ごたえを感じることにも繋がりました。

そして、転院の翌日、初めての入浴がありました。
看護師さんに浴室に連れて行ってもらい、服を自分で脱ぎ、洗い場の椅子に移るのは介助してもらって、自分で体を、髪を洗い、体を流して、再び看護師さんにお願いして、湯船に入りました。
入浴用の車いすを使って移動しながら、です。
この時の気持ちよさと言ったらありません。
実に1か月ぶりの湯船。爽快でした。

でも、この看護師さんは、この時の私の動作に、少し不安を覚えたそうです。

曰く「動作が性急すぎる、よって危険度が高い、精神的なものかもしれないが、落ち着きに欠けるところが見受けられる」。

確かに、場所を移動したりする際、つい自分の体で、足で何とかしようとしてふらついたことはあったと思います。
「自分の力で何とかしよう」という気持ちが強すぎたのでしょう。

とにかく、初めての入浴は気持ちのいいものでした。
この病院では、基本的に週に2回は入浴させてくれるとのことで、とても嬉しく思いました。
それまでは、週に一度の全介助の入浴、それ以外はアルコールのふき取りシートで体を拭くだけでしたから。

こうして、新しい環境に身を置いた自分が次にしたことは、叔母に頼んで、自分の部屋から、いつも使っていたiPhoneとノートパソコンを病室に持ってきてもらうことでした。

なぜなら、自分が心から欲していたものを得るために必要なものだったから。

自分が欲していたのは、病院以外の社会との繋がりでした。

健常に過ごしている人との繋がりでした。

そして、自分が以前していた仕事の環境も。

実際、この二つが病室に来てから、生活は変わっていきました。

■参考HP

脳梗塞で入院した患者さんの介護スケジュール
高血圧症と入浴の注意点

[2015.01.26]